タイトルでもうほとんどオチまで出ていることには触れないで欲しい。
当時私は、中高一貫の私立高校に通っていた。
中学から高校にエスカレーター式に上がるタイミングで、自堕落な帰宅部生活から卒業したいという一心で、なんとなくついていけそうなバドミントン部への入部を決意(バドミントン部はなぜか高校生しか入れない規則になっていたため)。
しかし、これが大きな間違いだった。
他の入部希望者の同級生たちは、中学時代にバスケやら陸上やらに打ち込んでいた体力自慢のツワモノたち。
とはいえ、楽観的な自分は、そんなことを気にも止めずに「まあ、余裕っしょ!!」と根拠のない自信を胸に、初めての部活動へと参加した。
その日はまず、高校のまわりを4キロランニングするところからスタートだと告げられる。
帰宅部だった自分は正直、今まで生きてきた中で、4キロなんて歩いたことすらなかった。
一抹の不安はあったものの、後には引けずに全員で出発。
置いてかれまいと、集団に食らいついてなんとか走り続けた。
しかし、わずか3分ほどであっさりと体力の限界を迎え、必死の踏ん張りも終了。
一番最後を走っていたばかりでなく、一つ前を走る人の背中が完全に見えなくなってしまう。
そして、初めて走るコースだったため、途中で道がわからなくなった。
もはや走ることを諦め、歩いて、歩いて、歩き続けたところ、とうとう見覚えのある場所にたどり着く。
高校の最寄駅の隣駅(高校から約4キロ)である。
4キロのランニングではなく、ひとりで4キロのウォーキングを達成してしまった私は、あることに気づいた。
時間、やばくね、、、? と。
慌てて駅の時計を見ると、走り始めてから1時間が経とうとしていた。
そうなると、追い詰められた男の行動は早い。
あろうことか、近くの大型ショッピングセンターから出てくる車に1台ずつ声をかけて、人生初のヒッチハイクで高校へ帰ることを決意。
おそらく、着ていた体操着を見て、地元の高校生が困っていることに気付き、慈悲の手をさしのべてくださったのだろう。
声をかけること2台目くらいで、優しい家族連れの車に乗せてもらうことができた。
乗せていただいた後部座席で、隣に座っていた5歳くらいの男の子に
「お兄ちゃん、何してるの〜?」
と聞かれ、とっさに、
「何してるんだろうね、えへへ、、、」
と、薄ら笑いを浮かべる気持ち悪い反応しかできなかった。
そして、このことがバレないように高校から100メートルくらい手前で下ろしてもらい、息を切らしながら走り、他の人に遅れること約1時間半。
部員や先生が心配顔で、総出で出迎えてくれた。
そのときは、「ちょっと迷っちゃって、、、」とごまかしたものの、数日後にはなぜか「車乗せてもらったんだって?」と、先生にバレる始末。
以来、さすがの自分も部活には行きにくくなってしまい、初めての運動部チャレンジはわずか1日で幕を閉じた。
願わくば、高校の同級生がこのページを見ないことを祈る。